【ECサイト】顧客分析のムダをなくす「RFM分析」とは?
RFMとは、「最近いつ(Recency)、どの程度の頻度で(Frequency)、いくら購入したか(Monetary)」について顧客データを分析することをいいます。
ECサイトがこのRFM分析をする目的は、“顧客のランク付け”をするためです。
カタログ通販企業などが制作・発送コストの削減をするため、見込みの低い顧客を選別しようしたことがRFMの始まりといわれています。いわゆる顧客切り捨てのための分析、ということです。
RFM分析は、ECサイトが効率良く運営してくために必要なデータといえます。優先順位を明確にすることで、顧客に合った無駄のないサービス提供が可能になるのです。
まずは3つの指標について解説していきます。
最新購入日(Recency)
『R』は購入した最新日がいつなのかを分析します。
最新購入日が最近であればあるほど、良い顧客と判定します。期間別に5つ程度のレベルに分け、ランクの管理をするのが一般的です。ランク別の期間は商品の消費期間など、データを分析する上で有益になるよう各企業に合った長さで設定しましょう。
『R』データはECサイトのキャンペーンやセールの開催に大きく左右されるデータです。通常の傾向を把握したい場合、イベント期間はデータを省くことをおすすめします。年間の計画を立てる際など、イベントも含めたデータが必要になる場合もありますので、その点も考慮した形でデータ保存しておくのが便利です。
Rランクの高い顧客が多いほど、購入顧客が定期的に訪れていることを意味します。Rランクが低い顧客が多い場合は、新規・既存問わず集客の強化を検討する必要があるといえるでしょう。
購入頻度(Frequency)
『F』は購入の頻度を分析します。
過去に何回購入したか、その回数が多い程、良い顧客と判定します。こちらもRと同様に5つ程度のレベルに分けて管理しましょう。ECサイトにとって、Fランクの高い顧客が多いことが理想です。
Fランクが高い顧客が多ければ、継続した安定顧客が多いことを意味します。
しかし一般的なECサイトでは、Fランクの低い顧客がデータの大多数を占めることがほとんどです。逆に少ない場合は、新規顧客の流入が少ないことを意味します。新規獲得のための施策を考える必要があるといえるでしょう。
購入金額(Monetary)
『M』は購入金額の総計を分析します。
金額が大きいほど、良い顧客と判定します。“高い”“低い”の判断基準は企業によって様々ですが、ECサイトが設定する顧客ごとの現状平均LTVよりも上回るかどうかを基準とするのが分かりやすいかと思います。
Rと同様に、Mもキャンペーンやセールの開催に大きく左右されます。通常期間とセール期間は分けたデータも別で管理しておくことで、それぞれの傾向をつかむことができます。
Mランクの高い顧客が多ければ、つまり顧客LTVが高ければ、ECサイトの売上に直接的な良い影響を与えます。ランクの高い顧客が少ない場合は既存顧客のサービス向上施策を考える必要があるといえるでしょう。
LTVを伸ばす施策として、メールマガジンやDMが代表的です。これらを一斉配信するのではなく、ランクで優先順位をつけて配信することでコスト削減になるわけです。
RFMデータから読む指標ごとの傾向とは
冒頭でもお話した通り、RFM分析によるデータは優位性のある顧客データの絞り込みのため活用します。3つの指標が高い場合にデータが意味することは以下のようになります。
『F(購入頻度)』…安定した顧客(常連客)である可能性が高い
『M(購入金額)』…購買意欲が高い
3つの指標を掛け合わせ、トータル(もしくは平均)数値が高い顧客を“優良顧客”とします。ランクごとに、“優良・安定・新規・休眠・非優良”とカテゴリ分けをすると良いでしょう。それぞれのカテゴリ定義は、打つ施策内容によって設定しておくべきです。
注意しておきたいのは、優良顧客が3つ全ての指標で必ずしも比例した高いデータになるとは限らないという点です。以下に例を記載します。
F(購入頻度)とM(購入金額)が高くても、R(最新購入日)が低ければ継続は見込めない可能性がある
R(最新購入日)とM(購入金額)が高くても、F(購入頻度)が伸びなければ“休眠”となる
このように合計数値だけ見れば同じレベルでも、高い(または低い)のはどの指標なのかによって意味合いも異なってきます。表面的に見える合計数値だけではなく、指標ごとのランクを考慮したカテゴリ分けをする必要があるのです。
こうした複雑な組み合わせによる顧客ランクのデータは、ECサイトの効率的なCRM施策にも大きく役立ちます。
※CRM:Customer(顧客) Relationship(関係) Management(管理)
まとめ
売上アップや顧客サービス向上の為に、まずはデータ分析でみえてくる課題を施策に落とし込むことから始めましょう。さらにはRFM分析で識別できる優先順位に従って施策を実行していくことで、無駄を極力なくした効率的なECサイトの運営が実現するはずです。
とはいえ、RFMは必ずしもCRMに貢献するものではありません。
次回はこのRFMが抱える問題点について紹介します。