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「RFM分析」をCRMで実現することで抱える問題点について

RFMとは、“顧客のランク付け”をするためのデータ分析方法とされています。
「最近いつ(Recency)、どの程度の頻度で(Frequency)、いくら購入したか(Monetary)」を顧客別に管理します。ランク別に顧客に優先順位をつけ、上位顧客に手厚くサービスを提供していくためのデータといえます。
RFMはECサイトのCRM施策のための分析データとも言われます。

しかし、CRMで実現するべきことを正しく追及したとき、データを活用する一方で、RFMが抱える問題点が見えてくるのです。
※CRM:Customer(顧客) Relationship(関係) Management(管理)の略。

顧客の中の一人

今回はCRMを実現する上で、RFMが抱える問題点についてお話します。
結論からいうと、RFMの問題点は、「CRMを遂行する上で完璧なデータにはなり得ない」というのが今回のテーマです。では、その問題点を詳しく見ていきます。

RFMでは見えない顧客データ

RFM分析では、顧客が「何を買ったか」を読み解くことができません。つまり、CRMに必要な“顧客ひとりひとりの理解”に不足が発生しているということになります。

RFMで“優良顧客”と定義される顧客リストに、例えばメールマガジンを送るとします。
その顧客リストには、自動的に定期便が毎月届く人もいれば、都度買い切りの商品を何度も買っている人もいることでしょう。メールマガジンの内容が、同じ商品の「お買い得セール案内」だった場合、大切な定期顧客を失うリスクが発生してしまうのです。

RFM分析をする際に、「定期」と「買い切り」で購入データを分けておくことで問題を解決できることがあります。その場合は、施策に応じて毎回分析データを切り分ける必要が出てきます。
RFMは、ECサイト全体の傾向と対策をつかむことは出来るものの、ひとりひとりの傾向と対策のためのデータとしては機能しないのです。

RFMが“切り捨てるべき”と判断する顧客データの価値

RFM分析では、3つの指標すべてにおいてランクの低い顧客は切り捨てを検討するべきとされています。

しかし、ECサイトにはそもそも“不要な顧客”は存在するのでしょうか。RFMでは切り捨てるべきとされる低ランク顧客の存在意義と、その活用法を考えていきます。

Rランク(最新購入日)

“Rランクが低い”購入した最新日が何年も前の顧客が意味は、顧客目線で考えたとき、下記のような理由が仮説として挙げられます。

・商品が気に入らなかった
・他社の商品に乗り換えた
・継続できる商品金額ではなかった

さらなるECサイトの売上の向上を目指すのであれば、Rランクが低いリストこそ現状改善のための貴重な顧客といえるでしょう。CRMのためには、上記の仮説の中に無視して良い項目は一切ありません。このリストに該当する顧客が “なぜ”継続に至らなかったのかを深く読み解く必要があります。

Fランク(購入頻度)

“Fランクが低い” 顧客が意味するものも、Rランクが低い顧客と同様です。
コミュニケーションツールとしてのメールやDMが、適切なタイミングで届いていないことが原因かもしれません。リピートをしてもらう為に、ひとりひとりの顧客に何が不足していたのかを読み解く必要があります。

ランクが低いから手厚いサービスをしない、と切り捨ててしまうのはCRMではありません。ランクが高い顧客には更なるサービスの提供を、低い顧客には改善のための策を考えることこそ、CRMといえるでしょう。

Mランク(購入金額)

“Mランクが低い”顧客もまた、RやFと同様にECサイトのサービスに何かしらの不満理由があることを意味しています。また、別の仮説として考えられるのは以下のような理由です。

・サンプル商品を試して迷っている
・継続のタイミングを逃してしまった
・前向きに本商品の購入を検討している

Mランクが低い顧客リストには、優良になり得る見込み顧客が多く潜んでいます。
F・M共に低い場合は特に、上記ポイントに着目しましょう。Mランクが低いからといって販促を手薄にしてしまえば、重大な機会損失になってしまう可能性があるのです。この場合は、購入金額の基準を1回あたりの平均購入金額でみると識別しやすくなります。

LTVが高いか低いかだけではなく、低いならばその理由を読み解くことが大切です。LTVは“企業努力で伸ばすべきもの”ということを忘れてはいけません。

RFMランクが低い顧客こそCRMで注目するべきリスト

「販促コスト削減のため、切り捨てるべき顧客リストを生成するためのRFM」
「ひとりひとりの顧客に、きめ細かいサービスを提供するためのCRM」

この2つは、ECサイト都合で考えたもの(RFM)と顧客目線で考えるべきもの(CRM)であり、そもそも相反した存在意義を持っています。
RFMが役に立たないということではありません。優先順位をつけるため、サイト全体の現状を把握するためにRFMは重要な参考データになり得ます。

「ひとりひとりの顧客の購入行動を読み解く」「ランクの低い顧客を切り捨てず、改善に役立てる」この2点を加えることで、RFM分析はCRMの頼もしいデータになってくれることでしょう。