ホーム > ECサイト関連情報 > 中小企業にとってのオムニチャネルの課題とは

中小企業にとってのオムニチャネルの課題とは

課題近年、スーパーやコンビニを持つ大手小売を中心に発展しつつあるオムニチャネル。

リアル店舗のネット進出ではなくECサイトのリアル店舗進出は可能なのか、またその先に見えてくる課題は何なのかを考えます。ひとつのブランドメーカーとしての中小企業がオムニチャネル戦略を目指す時、どのように販路を拡げるべきか。
相互メリットや見えてくる課題を段階ごとに見ていきましょう。

ECサイトにオムニチャネルは実現できるのか

イオンなど大手小売や百貨店がネット通販サイトを開設し「いつでも どこでも」購入・受け取りが可能になったことはオムニチャネルの成功例として語られています。
では、店舗を持たないEC企業はどうすればチャネルにリアル店舗を組み込むことができるのでしょうか。
例えば、いわゆる「単品通販」と呼ばれるひとつの商品のみを販売しているメーカーで月商数千万円規模のECサイト。こういったサイトはWeb単体であれば十分に利益は伸ばしていけても、その延長拡大戦略としてリアル店舗を経営するとなると現実的ではありません。
自社だけでは完結できない流通販路の拡大に、どうやって相乗効果を出していくか、在庫や顧客情報をどのように一元管理するのか、が課題といえます。

リアル店舗を除いた場合のオムニチャネル

リアル店舗を持つことが難しいECサイトが、どのように販路を拡大し、それらをシームレスに運営していくためには何が必要かを考えていきます。
自社ドメインのECサイトを運営し月商数千億円の規模まで安定して伸ばして来られた単品通販ECサイトを例にお話ししていきます。

単品通販という特性上、ひとつの商品だけでは顧客のLTV(ライフタイムバリュー/顧客生涯価値)を伸ばすには限界があります。顧客1人1人の売上を深く長く伸ばし続けるのではなく、販路を拡大して広く顧客数を伸ばしていく必要があります。
Webチャネルでの限界が仮に月商数千万として、更なる拡大を狙うのはWeb以外のチャネル、つまりオンラインではなくオフライン広告出稿です。カタログ同梱や通販CM(インフォマーシャル)、新聞・週刊誌掲載など電話やハガキからの注文を受ける通販チャネルです。

この段階で紙媒体やテレビなどの影響を受けてWeb検索も増加し、ブランディングや売上にも相乗効果をもたらします。日常でネットを利用しない層、Web単体ではリーチできなかった層への接点を持つことができるようになるわけです。

単品通販ECのリアル販路

ECと通販で相乗効果を出し、さらに毎月数千万の売上を確立できるようになると、次の課題として、やはりリアル店舗の販路が必要になってきます。
「テレビや雑誌で見かける→Webで検索して情報収集→近くのお店で購入」といったようにテレビ(または紙媒体)でもWebでも購入に至らず、お店にあれば買うというユーザーは多く存在しているためです。
自社店舗は持たなくとも、東急ハンズやロフトなどのバラエティーショップや、マツモトキヨシなどドラッグストアへ商品を卸すことは可能です。これにより流通販路(チャネル)は更に増え、お店で買いたいユーザーにとっての利便性も格段に上がることになります。

Webでの広告もユーザーの店舗誘導(O2O)に作用するため、「Web広告費をWebだけで回収しなければならない」といったWeb出稿拡大を妨げがちな縛りも軽減されます。

販路を拡大したあとに見えてくる課題

ECサイト・通販運営までは自社で完結できる範囲ですが、店舗へ流通をしたことで他企業が介入することになってきます。ここで課題となるのが「価格や在庫、そして顧客情報の一元管理」です。
よくある問題は「ドラッグストアの方が安く売っていた」「ECサイトが特別セールをしてしまうと店舗で売れない」などのしがらみが発生してしまうことです。企業が異なる以上、同じ商品を売っていても各々の売上を優先してしまうことは当然です。価格が違ってしまったり、在庫の管理が別々なため過剰に発注あるいは欠品してしまったりすることもあります。
何よりも大きな問題は、自社の商品を購入している顧客情報が販売店舗の管理下にあるのでメーカーには一切見えないという点です。

自社販売と卸は企業によって別セクションなことも多く、自社内でもお互いの売上のためにしがらみが発生する例もあります。ひとつのブランドメーカーとしての視点を持ち、極力ぶつかり合うことなく相乗効果を出すにはどう運営をしていくべきなのか、現場スタッフの売上以外の評価基準や卸先店舗との関係性の大幅な変革が課題といえるでしょう。

まとめ

Web単体で見ても、自社ECサイトと楽天・Amazon・YAHOOなどショッピングモールにも出店をしていると顧客情報の所在は各モールになり、一元化しにくくなります。
単品通販メーカーはユーザーにとっての利便性を追求するために、何を優先し妥協して体制を変えていくべきなのかを考える必要がありそうです。