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オムニチャネルの課題をクリアするには「O2O」の併用を!

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「O2Oからオムニチャネルへ」

世間では、「時代はオムニチャネルであり、O2Oはもう古い」などということが言われています。その結果、大手小売を中心に、オムニチャネル化を目指す企業がどんどん増えてきています。

しかし、実際の取り組みを通してオムニチャネルでは“できない”もしくは“難しい”ポイントが明確になってきているのも事実です。

「オムニチャネルはO2Oの進化系」というわけでは決してなく、そもそも戦略として全く異なります。この2つの戦略はどちらかを選ぶのではなく、上手に共存させるのが理想です。

今回はO2Oとオムニチャネルの違いについて、そして両方の強みを活用した新しい販売戦略についても考えていきましょう。

O2Oは「誘導」に特化した戦略

かつてECやその他Webサイトと、リアル店舗という2つのチャネルは完全に分かれていました。しかし、スマ-トフォンの普及により「Webでチェックした商品をリアル店舗で買う」「リアル店舗で見た商品をWebで安く買う」など、顧客の購買行動は多様化しています。

ECなどの“オンラインチャネル”と、リアル店舗などの“オフラインチャネル”の相乗効果が求められ、その結果登場したのが『O2O(Online to Offline)』です。

O2Oは、「オンラインからオフラインへ」または「オフラインからオンラインへ」の顧客誘導戦略です。

「Webで情報収集をした顧客」「Webでクーポンをもらった顧客」などがリアル店舗へ足を運ぶ、といった顧客行動を促すべく、新しいマーケティング戦略があちこちで見られるようになりました。かつて話題になった『GROUPON』などのフラッシュマーケティングは、オンライン集客がオフラインへと繋がった代表的な成功例と言えます。

しかし、ここで課題となったのが、「O2Oは“送客”という一方通行な戦略にしかならない」ということでした。長期的な売上や利益をもたらすリピーターの獲得や、ファンを育成するためのコミュニケーションには弱かったのです。既存顧客の囲い込みには不向きな戦略だと言えるでしょう。

オムニチャネルは「既存顧客の囲い込み」に適した戦略

長期的な利益をつくるべく、O2Oでは叶わなかった優良顧客の育成のために『オムニチャネル』が登場しました。PCやスマートフォン、リアル店舗、カタログ、テレビ通販などあらゆるチャネルから顧客に商品の注文や購入の機会を与えることができる戦略です。

O2Oの場合は名前の通り、オンライン上で顧客の動線を限定し、オフラインへと誘導するのが特徴でした。

オムニチャネルの場合、あえて顧客の動線を限定しません。すべてのチャネルを連携させることによって、どのチャネルからでも同等の価格で購入でき、同等の利便性が得られることをウリにしています。

大手小売企業やアパレルブランドを中心に、オムニチャネル導入は進んでいきました。リピーター顧客やファン顧客の獲得を目指せますし、さらなる優良顧客の囲い込みができるため、長期的な売上や利益の増大が見込める戦略です。

しかし、オムニチャネルにも課題はありました。それは、O2Oと比べて組織や販売システムの抜本的な改革が必要になるケースが多く、即効性が期待できないという点。そして導入に手間がかかるという点です。

また、既存顧客の育成には優れているものの、O2Oのような送客機能を持たないために、新規顧客獲得には弱いというデメリットもありました。

O2Oは「新規顧客誘導」、オムニチャネルは「優良顧客の育成」

O2Oとオムニチャネルの課題をクリアするために生まれたのが、O2Oとオムニチャネルを併用し、それぞれのメリットから相乗効果をもたらそうという考え方です。

新規顧客を集めて店舗に誘導し、短期的に売上を増やすためにはO2O

高い利益をもたらすリピーターなど優良顧客を囲い込み、長期的な売上を伸ばすためにはオムニチャネル

O2Oの即効性や新規誘導力を活かし、送客した顧客をオムニチャネルで育てていくという、互いの弱点を補完できる一連の戦略ができあがります。

そして、いずれはオムニチャネルで得られる顧客属性データを活用し、自社の見込み顧客層をターゲットに、精度の高いO2O施策が可能になるはずです。こうした永続的なサイクルは、「今こそ取り組むべき」とされているオムニチャネルだけでは完成しません。O2Oとオムニチャネル、どちらも一長一短であり、それぞれの強みを活かした販売戦略というものこそ、今後必要になってくるのではないでしょうか。