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【チャネル戦略】Webマーケティング視点で見た「オムニチャネル」とは?

マルチチャネルを経てクロスチャネルの時代からオムニチャネルへ、Web戦略は変化しています。
Web単体の施策と比較しながら、Webマーケティングの視点で見るオムニチャネルについて今回はご紹介します。

オムニチャネルとは?

「オムニ」とは「すべての」という意味で使われます。つまり「すべてのチャネル」を活用した戦略ということになります。
ここでいうチャネルとはWeb(PC・モバイル・タブレット)をはじめ、リアル店舗やイベントなどを指します。これらを自由に行き来できる形でユーザーと接点を持ち、お客様に便利なサービスを提供しようとする戦略をオムニチャネルといいます。

スマホが普及して「店舗のみ」「ECサイトのみ」「通販のみ」という縦割りの接点の作り方では、ユーザーのニーズに対応するのが難しいため生まれた戦略と言えます。

チャネル戦略の変化

1.シングルチャネル

リアル店舗だけで購入が完了する形のことです。欲しい時にお店に出向いて買い物をすることをシングルチャネルといいます。Eコマースが一般的ではなかった時代の形です。

2.マルチチャネル

楽天やAmazonなどネット通販サイトが誕生し、リアル店舗でもECサイトでも買い物ができるようになりました。マルチとはリアル店舗とECサイト、どちらか一方のチャネルで購入も受取も簡潔するシンプルな形をいいます。
オムニチャネルと比較して古いタイプ、というわけではありません。多くの企業がマルチチャネルでの集客・運営をしているのが現状です。

3.クロスチャネル

リアル店舗、ECサイト、通販(テレビ・はがき・電話他)など複数のチャネルをひとりのユーザーが選択し、使い分けることが可能な形をいいます。ひとつのユーザーIDでその時にあったチャネルでの購入・受け取りが可能になりました。
Webで見て購入した商品を店舗で受け取ったり返品もできたりと、売り手にとっては集客の幅が広がり、ユーザーにとっても利便性が高くなりました。

4.オムニチャネル

ユーザーがものを買う際に「情報収集・購入・受け取り」を「すべてのチャネル」で「いつでも」自由に選択できる形をいいます。スーパーなどのネット通販が増えてきて食材をリアル店舗でもネット通販でも購入できる上、必要な時に自宅にお届け、というのがオムニチャネルの例です。
クロスチャネルとの違いは、顧客データや商品在庫・配送・返品・アフターフォローなどを一元で管理できるかどうか、という点です。

今までのマルチチャネル

これまではECサイト単体、テレビ・カタログ通販単体での運営が通常でした。
ECサイト=Web広告、通販=テレビ(インフォマーシャルやテレビ通販出稿など)広告やカタログ掲載・チラシ同梱や新聞、といったようにそれぞれのチャネル内で集客し売上を作っていくモデルです。
目標設定も管理もシンプルでひとつのチームでの運営がしやすい点がメリットではありますが、その先に見えてくる課題がありました。常に安定以上の売上を目指す企業にとっては、「Webだけ」「テレビだけ」「紙だけ」といった集客方法には限界があります。
また、アプローチしたユーザーは生活の中で自由にチャネルを行き来できるため、売り手にとっては機会損失も発生する点です。たとえば通販CM広告で見かけたコスメをその場で購入に至らず、あとでWebで検索してみたり、ドラッグストアで探してみたりということです。

マルチチャネルからクロスチャネルへ

マルチチャネルでの集客ではこれ以上の拡大を見込めない企業のクロスチャネル化が進んでいます。
ECサイトが紙媒体を活用したり、通販CMを始める例も増えてきました。青汁やダイエット商品などの健康食品ジャンルは特にこの傾向が強く、Web・テレビ・紙のクロスチャネル集客が活発になっています。高齢層のイメージがあった青汁を通販CMと新聞・その他チラシで集客をしていた通販会社がWeb進出で若年層の獲得に成功した事例もあります。
また、高齢層でも「電話をしたくない」「はがきを出すのが面倒」といった取りこぼし顧客をWeb検索から獲得することもできました。Web=若年層というイメージは根強くあるものの、スマホ普及の影響でネット検索を一切しない高齢層は年々減少していることは明らかです。
Web単体で集客をしていたダイエット商品を販売するECサイトがカタログ通販の同梱チラシや通販CMを始めて売上増に成功した例もあります。雑誌やテレビCMを見てWeb検索する割合はその出稿頻度にもよりますが、おおよそ2~3割程度、それによりWebの売上も相乗効果的に伸びる結果となりました。

コマースや通販にとってのオムニチャネル

現在オムニチャネルに積極的に取り組んでいるのは百貨店やスーパー・コンビニなど大手小売を中心に、リアル店舗がネット進出をしていることがほとんどです。
逆に、ECサイトのみの企業がリアル店舗を新しく作るとなると、リアル店舗のネット進出よりもハードルが非常に高く、オムニチャネルのためだけに店舗オープンということは現実的ではありません。チャネルからリアル店舗を省いて考え、それ以外のすべてをユーザーにとってシームレスに運営することがECや通販会社にとってのオムニチャネルの第一歩と言えるのではないでしょうか。