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セブン&アイの「オムニチャネル戦略」は中小企業でも実践できる?

セブン&アイ・ホールディングスのオムニチャネル戦略のアイキャッチ

オムニチャネルとは、リアル店舗やネット通販サイトなどあらゆるチャネルを融合し、ひとりひとりの顧客満足度を上げるための戦略です。「情報収集・相談する」「購入する」「受け取る」これらの消費行動の全てにおいて「いつでもどこでも」を叶えるのがこの戦略のテーマになります。

『omni7(オムニセブン)』で知られる、セブン&アイ・ホールディングスが展開するオムニチャネルは、先述した定義にさらにプラスアルファの顧客満足を目指した戦略で成功を収めています。

リアル店舗がネットサービスや、ネット通販の受け取りを始めるだけではなく、この企業だからこそ成し得たオムニチャネル戦略とはどんなものなのでしょうか。また、セブン&アイ・ホールディングスのオムニチャネルに学ぶ、中小企業にも可能なオムニチャネルへの取り組みを考えていきます。

セブン&アイ・ホールディングスのオムニチャネル戦略

『omni7』は、スーパー『イトーヨーカドー』とコンビニ『セブン‐イレブン』の融合だけではありません。『LoFt』や『SOGO』など、グループのあらゆる業態店舗、そして商品とサービスまでを一体化させた新しい戦略です。

さまざまな業態を持つグループであり、そのグループで19,000もの店舗数を持つ点を最大限に活かしたことで実現できたオムニチャネルです。

グループ各社との連携により、以下3つのポイントを軸に顧客にとって満足度の高いサービスを提供しています。

1)売り場:「いつでもどこでも」

『omni7』によるリアル店舗とネット通販の融合により、ユーザーは「好きな時間に、都合の良い方法で、欲しいものを購入できる」ようになりました。単身者や共働き世帯など、忙しい生活でもスーパーに行くのと同じようにネットで買い物ができて、かつリアルタイムで商品が手に入ることは、消費者にとって大きなメリットといえます。

また、高齢者などお店に行くことが難しい顧客層向けにタブレットを配布。自社の従業員が、さらなる御用聞きも兼ねて自宅に届けてくれるというサービスも展開しています。

2)商品:「常に新しく上質な」

セブン&アイ・ホールディングスは独自のグループ力を活かし、「新しさ」「おいしさ」「上質さ」などにこだわった価値ある商品開発にも力を入れています。さまざまなメーカーとの共同開発によるプライベートブランド『セブンプレミアム』を展開し、「安くてクオリティが高い」商品を次々と発売しています。

3)接客:「価値を伝える」

ひとりひとりの顧客に合った商品価値を伝える接客を目指し、リアル店舗だけではなくネット通販における接客技術も磨いていくことを宣言しています。

顧客満足度を上げるべく、接客履歴や商品紹介ノウハウをグループでシームレスに共有し、価値ある商品と価値ある接客サービスに日々取り組んでいます。

『omni7』が目指す更なるオムニチャネル戦略

『omni7』が取り扱うのは、食品はもちろん生活雑貨の『LoFt』や、百貨店デパートの『SOGO』『SEIBU』、CDの『TOWER RECORDS』など、さまざまな商品です。

今のオムニチャネル戦略では、このさまざまな業態グループのメリットを最大限活かしきれていないというのがセブン&アイの抱える次なる課題といえるでしょう。

オムニチャネルを活用している消費者たちが、実際にネットや店舗で購入するのは食品や日用品がほとんどです。せっかくのグループ規模を持つ『omni7』で食品や日用品以外の商品も買ってもらうためには、まだ時間がかかるのかもしれません。

「実店舗で購入するもの」というイメージが定着している商品、またはAmazonや楽天市場にはまだ及ばないネット通販の利便性やメリットをどう作り上げていくかに今後期待したいところです。

中小企業にできるオムニチャネル戦略

ECサイトを持つ企業であれば、顧客の「ショールーミング」需要への取り組みが課題になります。

「ショールーミング」とは、「実店舗で商品を見て、店員に説明を聞き、ネットで注文する」という購入動線のことです。これが近年になってリアル店舗を悩ませている消費行動で、すなわち“ネット通販に不足しているもの”と捉えることができます。

「シューズの販売で、試し履き後の返品を受け付ける」「アパレル商品を購入前に試着できる」「サンプル商品を気軽に取り寄せられる」など、顧客が感じるリアル店舗のメリットをECにも取り入れていく必要があるでしょう。利用者の口コミや、実際の使い方など、店員から得るべき情報をインバウンドマーケティングの一環として備えておくことも有効です。

ひとりひとりの顧客の購買行動にシンプルで利便性を感じてもらうために、チャネルの連携以外にも出来ることはあるはずです。今いる顧客が感じている不便性とは何なのか、「買う・相談する・受け取る」これらの顧客行動を、“顧客目線で”どうすれば今より便利になるのかを考えましょう。

決して忘れてはいけないのが、オムニチャネルは「売上を伸ばすため」ではなく「顧客満足度を上げるため」の取り組みだということです。