1人カラオケのベテランが考察「ヒトカラーが大幅に増えた要因」
僕は趣味が少ないのですが、一度ハマると一種の義務かのように入れ込んでしまうという傾向があります。特に1人カラオケは中学時代からの趣味で、昔は週5で1人カラオケに行っていました。誇張なしに「週5」です。
僕は10年前から1人カラオケプレイヤー(通称:ヒトカラー)ですが、当時はまだ1人カラオケに抵抗がある方が多く、どうにも肩身の狭い思いをしてきました。
今や1人カラオケはある程度の市民権を得ていて、ヒトカラーが増えてきているように感じています。
しかし、なぜ1人カラオケはここまで普及したのでしょうか? 今回は1人カラオケが多くの人に愛されるようになった要因について考察していきます。
「カラオケ=複数人で行く場所」はもう古い!
中学生時代から1人カラオケに行っていたのですが、よく同級生から「よく恥ずかしくないな」と侮蔑的な目で見られていました。
彼らのこの発言、確かに意味は分かります。
カラオケと言えばみんなで行くもの
⇒1人で行くのは友達がいないみたいで恥ずかしい
⇒店員からもバカにされているはず
⇒かわいそう(いとほし)
論理としては決して間違ってはいないはずでしょう。皆様の中にも「恥ずかしい」という気持ちから、1人カラオケの世界に足を踏み入れることができなかった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、僕が中学生だった時代からもう10年以上の時が経過しています。物事の価値観が変わるのには十分な時間です。
現在では『カラオケ=みんなで行く場所』といった前提条件が変わってきています。
誰にも邪魔をされず、ただただ歌を楽しみたい……そんな方も増えてきているのです。ヒトカラー自体の絶対数が増えてきているので、店員から好奇の目で見られることも減りました。店員にとってヒトカラーは「珍妙な存在」だったのもしれませんが、今では「その他大勢」の1人に過ぎません。
1人カラオケに行く「恥ずかしさ」は昔よりも薄れていると言えるでしょう。
数ある1人○○の中でも難易度が低い
近年では、孤独を愛でるタイプの方が増加傾向にあります。
1人焼肉、1人水族館、1人バーベキュー、1人遊園地などなど。
「おひとりさま」文化が発達した要因としては、ネット社会の普及によるコミュニケーションの簡素化、おひとりさまをターゲットにしたマーケティングの拡大などが挙げられますが、今回は省略します。
このように、今は1人○○が溢れかえる時代です。右を向けばおひとりさま、左を向けばおひとりさま。石を投げると高確率でおひとりさまに当たるはずでしょう。しかし、1人○○の中にも難易度があり、その難易度に合った勇気が必要です。
僕は1人カラオケに関しては一流だと自負しております。フリータイム・ノンストップで歌い続けることもできますし、ハシゴカラオケもよくしたものです。
しかし、決して1人○○の一流だとは言えません。むしろ僕は1人○○界の中では凡庸なプレイヤーに過ぎないでしょう。
先に挙げた例をご覧ください。どれもこれもカップルやファミリー層、友人グループをターゲットにしていますよね。
隔絶されていないのです。
周囲の世界との隔たりがないものだから、あらゆるものが目につきます。愛を囁きあっているカップル、笑顔に包まれたご家族、青春を謳歌する若人。
対する自分。僕。俺。私、ないしアタシ。
光と影、陰と陽。このコントラストは容易に耐えきれるものではありません。
また、「全部見えている」ということは「全部見られている」と同義です。
彼らは必ずこちらを見てくるはず。1人で黙々と焼肉を食べている様を。1人でクラゲを観察している姿を。1人で汗を拭いながら炭の準備をしている背中を。
多くの方は、他人から笑われることを嫌うはずです。決して気分がよくないですから。自意識過剰な僕なんかは良い例で、そういう場に1人で行くと「みんなが笑っている気がする」と考えてしまいます。
翻って、カラオケ。
カラオケは例に挙げたものとは異なり、「個室」で楽しみます。ルームに足を踏み入れれば、その瞬間に自分だけの世界に早変わり。周囲に気を遣う必要も、気を遣われる心配も一切ありません。最低限のマナーは守るべきでしょうが、そこさえ守れば好きに使って良いのです。
歌はもちろん、勉強や睡眠の時間に使ってもOK。ぼんやりとタバコを吸っているだけでも、誰も咎めたりはしません。
他人の視線が怖いという方でも、最初の店員との事務的なやりとりを済ませてしまえば、その先は自由の園。歯医者の麻酔よりも気楽ですね。
業界側でも「1人カラオケとの共存」が課題に
店舗サイドからの「1人カラオケは採算がとれない」という意見に関しては、認めざるを得ないでしょう。
複数人でも入れる部屋をたった1人で占領してしまいますし、個人でサイドメニューを注文する人も少ないはず。一度注文が入れば単価は高くなるかもしれませんが、それでも1人カラオケの利用者ばかりだと店舗側にとっては痛手となりかねません。
しかし、昨今のカラオケ業界では利用者の数は横ばいで、このままでは少子高齢化と共に緩やかに廃れていく可能性が危惧されています。そのため、「たかが1人カラオケされど1人カラオケ」といった考えが強まっているのも事実です。
また、1人での利用者が増加傾向にあるので、各企業はそれぞれ1人カラオケ対策を打ち出しています。近年では1人カラオケ専門店などもオープンしていて、1人カラオケはカラオケ業界における「新たな市場」と考えられています。
1人カラオケは採算性が悪いということは紛れもない事実ですが、業界側にとっては捨て置けない課題の1つです。
利用者目線で見ると、「一昔前と比べて1人カラオケがしやすい環境が整ってきている」と言えます。「1人カラオケデビューがしやすい時代」とも言えるでしょう。
1人カラオケは昔よりも魅力的になっている
今回は1人カラオケが普及した要因を考えてみました。
- カラオケの楽しみ方が変化したこと
- おひとりさまの中では難易度が低いこと
- 業界がヒトカラーという顧客層を重視し始めたこと
この3つが、今の1人カラオケ人気を作り出したのではないでしょうか。
人気が高まったことによるのか、それとも人気を後押しした要因の1つかは判断が難しいところですが、今の1人カラオケは「すごく面白い」というのもポイントの1つです。
例えば、ある1人カラオケ専門店は音質や機材などにもこだわっていて、まるでプロのような環境で歌うことができます。
従来のカラオケボックスよりも独自性や品質に重きを置いているのが特徴です。他のカラオケボックスとの差別化が要因だと考えられますが、現状を見るとその戦略は功を奏したと言えるでしょう。
皆様の中に「最近1人カラオケに行けていない」という方がいらっしゃるのであれば、久しぶりに足を運んでみてはいかがでしょうか。新しい楽しみ方を発見できるかもしれませんよ。
ただ、僕もしばらく1人カラオケには行っていません。
やっぱり体を動かしたいと思ってジムに入会しましてね。ジムに心を奪われてしまったといっても過言ではありません。
ちなみに2016年6月現在、一度しか行っていません。月会費は払っているのでバカにしないでください。正直、1人カラオケのほうが楽しいです。