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自分を軸に考えるマーケティング基礎【格安SIM】

マーケティングは「自分が商品を買うプロセス」と似ていると思います。

ここでは私が格安SIMを買うまでに至った経緯と合わせて、マーケティングの基礎を考えて行きたいと思います。

「そもそも格安SIMとは?」

格安SIM(MVNO)に関する情報を最近よく見かけるようになりました。
月々1,000円程度から使えるスマホのことです。

テレビコマーシャル、アドネットワーク広告、IT系メディアでのコラム記事など、みなさんの目や耳に入ったこともあるのではないでしょうか。以前は大手キャリア以外の選択肢はほぼ無いに等しい寡占状態でしたが、ようやく群雄割拠の時代がやって来たのかもしれません。

一方で「格安SIMを選ぶべきではない」という趣旨のコラム記事もたくさん見受けられます。理由は単純で「誰もが安心して使えるタイプのサービスではない」からです。よく知らずに乗り換えて後悔する人も多く出ているそうです。

私個人としては、来月に更新のタイミングがあるので、音声対応の格安SIMに乗り換えることにしました。最大の動機は「料金を安くしたい」という単純なものです。

格安SIMの特長は何か(商品を考える)

まずは自分が購入するものの特長を考えてみてください。
何が優れているから買おうと思ったのか、買った本人なら知っているはずです。

また、合わせて自分が選ばなかったものの特長も考えてみましょう。

<格安SIMの特長>

格安SIMはその名前が示す通り「安い」ということが最大のメリットです。
私の場合だと月5,000円以上を節約できることになります。お財布に優しいというのがメリットと言えます。
大手キャリアから「電波を借りている」ため、電波が通じる範囲に関しても遜色ありません。純粋に今の範囲のまま、安く使えるのです。

他にも、端末の選択肢が豊富であることが挙げられます。
大手キャリアのようにiPhoneやXperiaなどの最新端末が使えますし、スマホとしては破格な1万円程度の端末もあります。1万円程度で購入できるpriori2は価格コムでも高評価を得ており、スマホにあまりお金を使いたくない層や2台持ちの層を取り込んでいるようです。

また、こちらは格安SIMのメリットではなく大手キャリアのデメリットですが、2年縛りなど違約金による縛りがないのも大きな特徴のひとつと言えるでしょう。

安く使える、安い端末がある、違約金の縛りがない、というのが格安SIMの優っている点です。

<大手キャリアの特長>

大手キャリアは格安SIMに対して「電波を貸している」ため、格安SIMに比べて通信に優れています。
速度や安定性の面で優れているため、ネット環境をスマホに依存している人や、月々のスマホの通信料が多い人にとっては快適でしょう。

電話料金は大手キャリアのほうが圧倒的に安い(PHSは更に安い)ので、よく電話をかける人にとって格安SIMは「高いスマホ」になってしまう可能性があります。

また、サポート体制が格安SIMに比べて整っています。
なにか疑問に思ったりトラブルが起きたりした時には、電話問い合わせだけでなく窓口に直接行くということも出来るため、安心して使えるというのがメリットです。

大手キャリア最大の特長は、ブランド力であると考えます。
昔から知っていて、何となく「信頼できる」「納得できる」というイメージが根付いているわけです。企業に対する信頼感や不信感は、同じサービスを受けられても満足度に大きな違いが生じます。格安SIMに乗り換えたとき「格安SIMなんかにするんじゃなかった」という意識が働きやすい人は多いでしょう。

通信が快適、電話しやすい、サポートしてくれる、信頼できる、というのが大手キャリアの優っている点です。

他のものとの違い(差別化)

商品の差別化を図るには、3つの軸について考える必要があります。
初級者向けマーケティングの教科書などを見ると、どこでも見かけられるものです。

手軽軸……価格が安い、簡単に試せる、など
商品軸……価値が高い、独自性がある、など
密着軸……個別のニーズに応えてくれる、など

特長を考えた後に、分かりやすく箇条書きにして考えてみましょう。

大手キャリアと何が違うのか

格安SIMで考えると、以下のような差別化が図られています。

手軽軸……最低利用料金が安い
密着軸……契約規制が無い

正直なところ、この2点以外で大手キャリアに勝てているところを見つけられません。機種に関してはイーブンだと思いますが、優れているかと問われると首を傾げます。

しかし、この2点に優れているだけで、少なくとも私という顧客は囲い込めたわけです。
大手キャリアのようになろうと後追いをするだけの存在であれば劣化版大手キャリアとなり、かつてのPHSのようにマイナスイメージばかりついて売上は伸び悩んだでしょう。

自分と商品の関連性は?(ペルソナ)

商品やサービスをつくり売るために、差別化を図るために、ペルソナは欠かせない存在です。
ペルソナとは、ものすごく単純に言えば「商品やサービスのターゲットとなる人」のことです。

ペルソナの精度が高ければ高いほど「良いサービス」「良いマーケティング」ができますが、良いペルソナをつくろうと思えばかなりのお金がかかります。何十万~何百万円という価格も珍しくはありません。

ただ、ペルソナの材料はさまざまなところに存在しています。
格安SIMに関して言えば、私はペルソナの材料となることができます。

格安SIMと関連するような私の要素には、以下のようなものがあります。

格安SIMから考える鈴木の要素

<関連>
・キャリアメールはある程度使う
・通話するときはWi-Fi環境で、LINEやSkypeを利用することが多い
・大容量の通信や、常時接続のゲームなどはしない
・カスタマーサービスをさほど利用しない

<不満>
・あまり料金がかかることをしない割に料金が高い
・複数年契約によって、こちらのタイミングで機種変更などができない

<要望>
・ハイスペックでなくて良いので、安い端末が欲しい
・あまり使わないので月額利用料を安くしたい

<背景>
・IT系企業に務めている
・基本的に内勤でWi-Fi環境にいることが多い
・ネットリテラシーは世間の平均よりは高い
・スマホよりPCを使う時間が長い

より良いペルソナをつくろうと思えばもっと踏み込んだ情報も必要ですが、個人情報になるのでここでは省略させて頂きます。
自分のことなので「どんなことが商品に影響したのか」は、何となく分かるのではないでしょうか。

マーケティングに実践するときには、こういった要素を多くの人から集めて切り分けることで、有効なペルソナをつくることができます。
身近な人やユーザーから情報を吸い上げていくと、マーケティングに役立てられます。

ペルソナをつくるとき大切なのは、企業にとって都合の良い情報ばかり集めないことです。耳をふさぎたい情報もペルソナに付与しないと、顕在顧客(すでに商品を買ってくれている人)以外は買ってくれないでしょう。

マーケティングを考える頭をつくる

ここまで格安SIMを例にマーケティングについて考えて来ましたが、実践するときの順番はまったく逆になります。

1.リサーチしてペルソナをつくる

2.どのように商品やサービスをつくって売るか考える

3.それを潜在顧客になりえる人たちにアプローチする

もちろん、これだけでマーケティングに関する要素をすべて説明したわけではありませんが、この大きな流れの中には意味があることがたくさんあります。
逆算して考えていくことで、「自分がマーケティングを行うときには何をすれば良いのか」が少しずつ見えてくるのではないでしょうか。

ちなみに、この記事では「格安SIMという大きなくくりを自分がなぜ選んだのか」という点について述べているものなので、実際にはまだお金が発生していません。ここから具体的なプランを選択するまでも大切になってきます。
「OCNモバイルONE」「U-mobile」「IIJmio」などなど、選択肢は意外と豊富にあります。その中から最終的に選んだものだけにお金を払うわけです。

おわりに

自分が買ったものを思い浮かべて、みなさんも考えてみてはいかがでしょうか。

「なぜその商品やサービスにしたのか」
「どこが他のものと違ったのか」
「商品と自分の接点はどんなものか」

自社の商品やサービスを売るためのヒントになるかもしれませんよ。