ホーム > ホビー > SWのダークサイドにテンションが上がる訳

SWのダークサイドにテンションが上がる訳

SWのダークサイドにテンションが上がる訳のアイキャッチ

昨年末、スターウォーズの新作が満を持して公開されました。今回はエピソード6後が舞台と言うこともあり、かつて物語の中心人物であった人達が再び登場するということもあってかなり注目されました。

ハリソン・フォードの演じるハン・ソロとチューバッカの登場するトレーラー動画には多くの方が心を躍らせたことでしょう。

しかし、それとは別に個人的にすごくテンションが上がったシーンがあります。今回の敵役であるカイロ・レンが始めて登場した、エピソード7の最初のトレーラー動画です。ゆらゆらと揺れる黒いローブに猫背の、明らかにダークサイドに堕ちてるだろうというキャラクターの登場。あの絵柄だけで僕の中の14歳が大興奮していたわけですが、そこでカイロ・レンがライトセーバーを起動させます。

おう。赤か。やはりシスは良……っておい! ちょっと待て! なんだその横の素敵な突起は!

そう。今回のダークサイド側のキャラであるカイロ・レンが使うライトセーバー。第1作のエピソード4が公開されてからおよそ40年の時を経て、遂に鍔がついたのです!

小さなころよりSWの映画を見て育ち、テレビや映画館で放送されるたびに友達とジェダイごっこやら物語の続きやら外伝を妄想して育った僕のような清く正しい男児にとっては、「やっとリアルが俺の妄想に追いついた!」と歓喜した瞬間でした。

思い返してみれば、ダークサイド(シス)のライトセーバーは1999年のエピソード1公開より、ずっと僕たち男の子にロマンの何たるかを教えてくれていたのです。初期の3部作では色が違うだけであとはほとんど形状が変わらなかったライトセーバー。ジェダイもシスも同じ棒状。いや、それも充分かっこよかったんですけどね。それによって僕たちの頭の中では「公式のライトセーバーは棒状。これは揺るぎようがない」という固定観念が植え付けられたわけです。

そのような状態でいざエピソード1を観に行った僕たちは、ある違和感に気付きます。

「あれ……? なんかダース・モール(エピソード1におけるシス側の適役)のライトセーバー、柄が長くね……?」

そしてきたるクライマックス。ジェダイ二人の前に立ちはだかるモール。そして次の瞬間、モールのライトセーバーの柄頭から、なんともう一本の赤いライトセーバーが!
この衝撃は僕たち観る側にはもちろん、娯楽界に与えた影響も少なくありませんでした。いろんな漫画や特撮で一時期、剣2本を柄頭で繋げた武器が登場し始めたのです。しまいには2000年代のガンダムでもこの形状のビームサーベルが登場してましたね。……いや。シャア専用ゲルググのビームなぎなたも考慮したら、ガンダムの方が先だったのか?

とりあえず、僕たちはダース・モールと彼のライトセーバーに夢とロマンを見出したわけです。

しかし。シスのライトセーバーはなおも僕たちを魅了する事を止めませんでした。

エピソード1から3年。エピソード2の放映が始まりました。前回でシスのライトセーバーがかなりのインパクトを放ったものですから、当時の男の子たちは「やっべー! 次はどんなライトセーバーが来るのかな!」と思いながらも、その反面「いや。もうあれ以上のインパクトは無理だべ」というあべこべの気持ちをいだきながら映画館に行ったことでしょう。

そして登場する今回のシス卿、ダース・ティラナスことドゥークー伯爵。今回のシスのライトセーバーもまた、実に味のあるものでした。もしかしたら映画本編を見るよりも前に、映画のポスターとかで見た人もいるのではないでしょうか。ちなみに僕はポスター派でした。そのとき見たライトセーバーの特徴もまた、僕たち男児の心に火をつけたものです。

ライトセーバーの柄がですね。「く」の形をしてるわけですよ。「く」。どこか銃の形にも似たフォルム。そして先端から飛び出る赤い光。

「こいつ……。サーブル使いか! フェンシングスタイルだな!」

ダース・モールほどの派手さは確かにありませんでした。しかし、映画のなかでドゥークー伯爵とこのライト・セーバーの活躍に多くの人が大興奮したわけです。だってオビ=ワンやアナキンに勝っちゃうし、ヨーダとも互角なんですもの! まぁ、彼の強さ以上に「ヨーダ! 戦えたんかワレ!」というインパクトが強くて、観た人の関心の多くがそっちに持ってかれたことは否めませんが。なにはともあれ、エピソード2でもシスのライトセーバーは男児にロマンを与えたわけなのです。

エピソード1、2と14歳の心を持つ純粋な男児たちにロマンを与え続けたスターウォーズ、そしてシス。ついに過去3部作の最終章が公開されました。いや。もう良いよ。1と2で充分興奮させてもらったもん。ネタ切れだろうし。そんなことを考えながらも心のどこかで「ルーカスなら……ルーカスならきっとどうにかしてくれるはず……!」と希望を捨てずに映画館に向かったわけです。そしてその希望は確かに叶えられました。

まずはシス側の一人であるアンドロイド、グリーヴァス将軍。正式なシスではないので赤いライトセーバーは使いませんが、そんなことは些細な事だって思えるほどのインパクトがありました。

なんだよ4刀流って! しかもアンドロイドであることを利用して、ライトセーバーを持った手の手首をぐるぐる回しながら突っ込んでくるじゃありませんか。ライトセーバーを使うアンドロイドの戦士! 滾る! いったい映画館の中で何人の男子がそう歓喜したことでしょうか。まぁ、そのあとすぐにオビ・ワンに手首2本切られて2刀流になっちゃうんですけどね。2刀流はいいよ、グリーヴァス。だって前回アナキンが見せてくれたもん。

そしてなにより言及しないといけないのは、シスの暗黒卿ダース・シディアスでしょう。旧3部作に出てきた、あのしわくちゃな悪いおじいちゃんですね。前回のヨーダに引き続き「戦えたんかワレ!」と多くの人に心の中で突っ込まれたことでしょう。しかもさすがラスボス。強いのなんの。映画のクライマックス目前ではジェダイ数人に対して1人で無双しちゃうダース・シディアス。ただのおじいちゃんではなく、高性能おじいちゃんだったわけです。

とはいえ。たしかによぼよぼだと思ったおじいちゃんが画面いっぱいに飛んだり跳ねたり剣振ったりというのはインパクトが強いわけですが、1・2と観て目の肥えてしまった人には少し物足りないと感じた人もいるかもしれません。しかし。そこはさすがスターウォーズでした。過去偏最終章でも手を抜くことなく粋な計らいをしてくれたわけです。ライトセーバーに注目していた人達ならすぐに気付いたことでしょう。ダース・シディアスが自身のライトセーバーを袖より出したとき、僕を含めた大勢の男児がこう心で突っ込んだはずです。

「ライトセーバーの柄が金色だ!」

なんと、ライトセーバーの剣の形やら柄の形で趣向を凝らしてきたスターウォーズが、ここにきて柄の色を変えるという変化球を投げたわけです。しかも金色というのが良かった。なんか下品! 悪役っぽい! この些細な差に気付けたかどうかで、その後のダース・シディアス無双とヨーダの戦いを見た時のテンションに違いがでてきました。当時映画館で目を輝かせながらダース・シディアスを見ていた男児がいれば、まず間違いなくこう思いながら観ていたことでしょう。

「金色! 金色! このおじいちゃん実はメチャクチャ派手好きだ! そりゃ戦い方もアクロバティックになるよね! ライトセーバーの柄が金色だもんね!」

そんな興奮を覚えながら、僕たちはエピソード3を観終わったわけです。

そんなわけで、過去偏3部作以降のダークサイド(シス)は常に僕たち男児に夢と興奮を与え続けてきました。

そして今回のエピソード7。ダークサイドのカイロ・レンはしっかりとその精神を受け継いでいました。ってか、作中の本人が僕たちと同じ14歳の心を持った同士だったわけです。そんなカイロ・レンは今後どうなるのでしょうか。そして次回以降のダークサイドのライトセーバーは僕たちにどんなロマンを与えてくれるのでしょうか。

まだスターウォーズを観ていないという方は、ぜひ今日ご紹介したことにも注目しつつ観てみてください。