「フラッシュはSEOに不利」って本当?
Web業界を中心に、長く利用されているフラッシュ(Adobe Animate、旧Adobe Flash)。よく聞かれることとして、フラッシュはSEOに不利だと言われています。実際のところ、それは本当なのでしょうか?フラッシュとSEOの関係や、フラッシュが向いているシーンについて探っていきたいと思います。
フラッシュの基礎知識
フラッシュとSEOの関係について見ていく前に、フラッシュについて簡単に復習しておきましょう。
フラッシュとは、アドビシステムズ社が開発している規格のこと。それまでのWebページは動きがなく静的でしたが、アニメーションなどの表現を可能にするフラッシュの登場によって、Webページに『動き』が加わりました。フラッシュが生まれた1990年代から現在まで、幅広く利用されているWeb技術の一つです。
フラッシュの特徴としては、ベクター形式を採用していることからイラストやアニメーションの品質が良いことがあげられます。また近年はインタラクティブな機能も盛り込まれていて、よりリッチな体験を提供できるようになってきています。
フラッシュとSEOの関係
フラッシュはインデックスされる?
さてこのフラッシュなのですが、SEOに不向きといった声が聞かれます。その理由としては、検索エンジンの要となっているクローラーが、フラッシュを苦手としていることがあげられます。
ただ、Googleのクローラーはフラッシュのswfファイルを読み込むことができますし、テキストやHTMLなどの外部ファイルも同時に見ることができます。フラッシュだからインデックスされない、というのは現在だと正しくありません。フラッシュであっても、Googleなどの検索エンジンにインデックスされることは可能なのです。
モバイルフレンドリーではない
モバイルOSはAndroidとiOSが大勢ですが、フラッシュはその片方であるiOSで表示できません。
iPhoneやiPadなどの端末で、フラッシュを使ったサイトをひらいたことはあるでしょうか?まっ白なページで、いつまでたっても何も表示されないかと思います。
フラッシュを使っている部分が一部ならまだいいのですが、ページ全体にフラッシュを使っている場合はiOS端末からは何も見られないことになってしまいます。
iOS端末でも公式ブラウザのSafariではなくPuffinなどのブラウザアプリを利用すれば、フラッシュを使ったページの閲覧が可能です。ただし、ほとんどのユーザーはそういったブラウザを使っていませんので、WebデザイナーやWebマーケターは『iOSはフラッシュが動かない』と認識しておくと良いでしょう。
さて、Googleは2015年4月からモバイルフレンドリーを検索順位決定の要因とすると発表しました。モバイルフレンドリーとは、Googleが独自に決めているスマホ対応の基準です。これにパスしないと、Googleからはスマホ対応していないと判断され、検索順位が下がってしまう可能性があります。実は、フラッシュはこのモバイルフレンドリーに反しているのです。iOSでフラッシュが動かないことが理由の一つなのでしょう。
結論は「できるだけ避ける」
上の2点を考えると、フラッシュはSEOを考えるのであれば避けた方がいいでしょう。リッチな表現はできるものの、それはSEOとは無関係。
インデックスされづらいことやモバイルフレンドリーでないことは、SEOの効果を高める上で大きな障壁となります。現在ではインデックスとの関係性は改善されつつありますが、モバイルフレンドリーの問題はまだまだ解決されそうにありません。
SEOを考えるのであればフラッシュの使用は慎重に検討してください。
フラッシュが向いているケースとは?
フラッシュはSEOに不向きと言いましたが、それでもフラッシュが向いているケースはあります。例えば、SEOに頼る必要がない大手企業や有名なブランドの場合は、フラッシュで印象に残るサイトを作ってもいいでしょう。大手の企業であれば、そもそもSEOに力を入れなくても検索結果で上位に出やすいこともあります。また、すでにSEOに強いサイトを持っていて、その一部としてフラッシュを使用したページを作成することも良い使い方です。
ページの一部に、限定的にフラッシュを使うこともいいでしょう。上で述べたように、フラッシュはインデックスされる部分もあります。部分的にフラッシュを使うのであれば、ページ全体としてはインデックスにあまり不利にはならないでしょう。
フラッシュは決してSEOの観点からすると推奨すべき技術ではありませんが、だからといって利用価値のない技術ということでもありません。大切なのは、サイトをどう活用していくのか、ということです。
SEOに対応しながらオーガニックな流入を稼いでいくのか? すでに有名となっている商品の、新しいサービスとして展開していくのか?
フラッシュだからNGということではなく、方針や用途に応じて柔軟に活用していくのが理想的でしょう。