株式会社F.LIGHT(エフライト) <本社:東京渋谷>

上達するコツってあるの? 大人になってから始める楽器


ここ数年で大人を対象とした音楽サロン(教室)が目立つようになりました。
また、音楽教室のテレビCMなどをきっかけに、大人になってからでも音楽を始めようとする人も珍しくありません。
しかし楽器を始めた人の多くが、思ったように上達しない自分自身に対して「はたして上手くなれるのか」と疑心暗鬼になることでしょう。
ここでは、大人になってから初めて音楽・楽器を始めようという方に向けて上手くなるコツについてお話します。

覚悟しておくべき「上達の早さの違い」

“上達の早さの違い”は、大人になってから初めて楽器に触る人や、新たな楽器に挑戦する人の多くが経験するものです。
特に、グループレッスンなどで子どもと一緒にレッスンを受けたことがある人は、呑み込みの早い子どもと比べてしまい、上達の早さの違いにショックを受けてしまうこともあるでしょう。

大人になってから楽器を始める場合、上達するためには、「人それぞれに上達の早さが違う」ことを覚悟しておいたほうがよいでしょう。
楽器を始めると、自分の成長度で悩むことがあります。そして最悪の場合、自分やレッスンに不満を抱き始め、諦めてしまうということも……。
音楽・楽器を演奏するということは、その人の感覚や身体能力が大きく影響します。このため、他の人とできることが違ったり、上達のスピードが違うというのはごく当たり前のことです。
ですから、「上達の違いがあって当然」という心構えを持って始めることが大切なのです。

上達するためには耳を育てること

よく“音楽は他人と比べないほうがいい”と言われることがありますが、これは間違って捉えられがちです。比べるべきでないのは、完成した曲やプロの演奏のこと。要するに音楽の良し悪しを決めるために個性を比べてはいけないということです。しかし、上達するためには比較が大切なポイントになります。
「楽器が上手くなりたい!」と思ったら、身近な人やプロの演奏を聞いてたくさん比べてみましょう。リズムの取り方の違いやメロディの歌い方、息の吸い方などを聞き比べることで音楽の耳が養われてきます。耳が育つことで“イイオト”聞き分けることができるようになり、上達につながります。
稀に、何年たってもあまり上達できない人を見ることがありますが、そういった方の共通点には音楽の耳を養えていないことが挙げられます。音楽をたくさん“聞く”ことで、些細な音の違いも聞き分けられるようになります。

◇音の違いを聞き分けるとは?

音の違いの捉え方について、他の表現で例えてみましょう。
音を聞き分けることは、色を見分けることに似ています。普段の何気ない生活の中でどれだけ“色”を自覚していますか?
例えば白い机と白いテーブルがあった場合、その2つを見比べるとわずかに色が違うことがありますよね。さらに言えば、照明に近いほうが明るく、遠いほど暗くなっていたり、日焼けの跡があったりするなど、微妙な違いがあるはずです。
「そんなことは言われなくても知っている」と思うかもしれません。しかし“知識として知っている”ことと“肌で感じている”ことでは天と地ほど違います。意識するからこそ色の違いが感じ取れるように、意識して聞くからこそ細かな音の違いに気付けるようになります。
私たちは一口で「白」と表しますが、「白」にもいろんな白があります。同様に全く同じ曲(譜面)を聞いたとしても、いろんな演奏スタイルがあるのです。細かい点まで意識することで微妙な違いを見分ける・聞き取れるようになり、音楽の良し悪しが分かるようになるのです。

◇耳を養うための曲の選び方

耳を養うためには音楽を聞くことが大切と述べましたが、ただ世の中にある曲を無作為に1回ずつ聞くということはしないで下さい。全くの音楽初心者であれば、曲を2~3曲に絞ったり、ジャンルを決めたりして、同じ曲を色んな指揮者やプレイヤー、アレンジ、編成で聞き比べることをおすすめします。
だんだんと演奏の違いが分かるようになったら、“自分の音を聞く”ことも意識してみて下さい。参考にする演奏を聞いたらまず声に出して歌ってみましょう。口で歌ったメロディが、今あなたが楽器で演奏しているメロディだと思って下さい。大きな違いがあればそこに上達するポイントが隠れているはずです。

まとまった時間練習しないと効果がない?

大人になれば仕事があり家事があり、付き合いがあり……と、さまざまな理由で練習する時間が削られていきます。それでも、少しずつ時間を見つけて“適切な練習をする”ことが上達のカギを握ります。
子どもは家事をすることもなく、ましてや働く必要もありませんから、放課後の無限とも言えるような時間から自由に抽出して練習に費やすことができます。部活であれば毎日数時間の練習と経験が積めるため、あっという間に上手くなります。
ですが、大人は違います。先にも言った通り大人には仕事などがあり、まとまった練習の時間を確保することがなかなかできないでしょう。

では、大人が上達する方法はないのでしょうか?

答えはNOです。「今日は寝る前に10分」「明日は出勤前に15分」と言ったように、一日の中で細かな時間を見つけて、“適切な練習をする”ことで間違いなく演奏技術は上達していきます。

練習しなくても毎日触ること

「楽器に毎日触る」。
教本などにはなかなか載っていないことですが、多くの奏者が共通して言う“大切なコト”です。楽器を演奏するという行為は職人が技術を身に付けることと同じです。
「腕のいい職人になるためには、自分が使う工具や材料を自分の手足のように使えることが大切!」って聞いたことありませんか?
楽器の演奏も同じです。上手くなるためには楽器を自分の肌になじませて、手足のように使えるようにならなくてはいけません。そのためにも、毎日楽器に触る習慣をつけることが大切なのです。
これは、ちょっとした時間でも楽器ケースを開けるというきっかけづくりにもなります。毎日楽器ケースを開けることで、「10分、5分だけでも音を出してみよう」「深夜だから運指(楽器の指使い)をおさらいしてみよう」などといった練習への意欲につながります。
楽器を手入れするだけでも構いません。「毎日楽器に触る」ことで楽器に対する愛情も湧き、簡単に挫折しなくなるはずですよ。

ここでは、学校で受けた音楽の授業以外にほとんど音楽経験がない方を対象にお話ししました。
初心者向けの音の取り方や、リズムトレーニングなど「うまくなる練習法」は巷に多く出回っていますが、上達するためのコツはなかなか紹介されることがなく、挫折してしまう原因になっています。

これから音楽を始めようという方は

  • 「自分には自分の上達スピードがある」
  • 「毎日楽器に触る」
  • 「音楽を聞き分ける耳を養う」

という、以上の3つのポイントを意識しながら、継続して頑張ってみましょう。